UBS Perspectives 日本版 2012年 冬号 vol.10

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「世界が求めるピアニストになる」

—辻井伸行氏が次に描く夢

感動と興奮のヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールから2年半。2011年11月10日、ピアニスト辻井伸行氏が"音楽の殿堂"とも称されるニューヨークのカーネギーホールで、デビューリサイタルを 果たした。しかし、その栄光すらも彼にとってはプロとしての出発点に過ぎない。躍進と成長を続ける、一人の若きピアニストの姿を追う。

辻井 伸行(つじい のぶゆき)氏

満員の聴衆を前に全8曲を披露。
演奏終了後は大きな歓声と拍手が沸き上がった

1988年 東京生まれ
1995年 7歳で全日本盲学生音楽コンクール・ピアノの部第1位受賞
1998年 10歳の時、三枝成彰スペシャルコンサートで本名徹次指揮
大阪センチュリー交響楽団と共演し鮮烈なデビューを飾る
2000年 12歳で第1回ソロ・リサイタルをサントリーホール小ホールで行う
2005年10月 ワルシャワで行われた第15回ショパン国際ピアノ・コンクールに最年少で出場し「批評家賞」を受賞
2009年6月 アメリカで開催された第13回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで、日本人初の優勝を果たす
2011年11月 カーネギーホールが主催する「鍵盤のヴィルトゥオーゾ」シリーズの一環として開催されたリサイタルで、ニューヨークデビューを果たす

これまでに増山真佐子、川上昌裕、川上ゆかり、横山幸雄、田部京子、千野宜大各氏に師事
上野学園大学演奏家コースを2011年3月卒業

世界を再び感嘆させた音色

伝説のピアニスト、ヴァン・クライバーン氏が「奇跡」と賞賛したピアニスト辻井伸行氏が、再び世界を驚嘆させた。2011年11月、ニューヨーク・カーネギーホールで開催されたデビューリサイタルで満員の会場を感動に包み、センセーショナルな成功を収めたのだ。幼少時代からの夢だったというこの舞台に立った時の心境を、辻井氏はこう振り返る。「舞台に向かう時はとても緊張しましたね。最初の曲をうまく始められたおかげで、演奏するうちにいつも通り集中できました。最後はお客様への感謝の気持ちで感極まり、涙があふれてきました」。辻井氏のリサイタルは、カーネギーホールが主催する"鍵盤のヴィルトゥオーゾ(達人)"シリーズの一つ。世界の超一流ピアニストが名を連ねるこの舞台に、辻井氏は最年少で選出されたのだ。「期待の大きさを感じて、一生懸命練習しました。自信のある曲を中心に、周囲の意見も参考にしながら演奏曲を決めました。例えば1曲目はニューヨーク出身の現代作曲家の作品で行こうとか、生誕200年のリストを加えようという具合に。自分なりにベストを尽くすことができました」。そう語る辻井氏がこの日のプログラムに選んだのは、マストの「インプロヴィゼーションとフーガ」、そしてベートーヴェンのソナタ第17番「テンペスト」、リストの「ため息」と「リゴレット・パラフレーズ」。後半にはムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」を演奏し、アメリカの耳の肥えた聴衆を魅了した。またアンコールには、辻井氏が「アメリカへの感謝の気持ちを込めた」というフォスターの曲をテーマにした新作などを披露した。

震災被災者のために、一人のピアニストとしてできること

辻井氏は今回のリサイタルを、東日本大震災の被災者の方々に向けて作曲した「それでも、生きてゆく」で締めくくった。この曲に辻井氏のどんな想いが込められているのだろうか。「震災直後の3月下旬にアメリカ・カナダツアーを行った際、津波で家族を亡くし、帰国もできずにいた留学生の方がコンサートを聴きに来てくださいました。また、多くの国の方々が日本を心配し、支援してくださる様子を目の当たりにし、自分も音楽を通じて何かしたいと思うようになったのです。この曲には、被災して亡くなられた方々への追悼、そしてご家族や友人を亡くして悲しむ方々に寄り添う気持ちが込められています。"希望だけは捨てないでほしい"そんな想いから、ツアーのアンコールとして演奏しました」。辻井氏は2011年12月にはトルコも訪問し、10月に同地で起きた地震による被災者へのお見舞いと、東日本大震災に対する支援への感謝の気持ちを込めて同曲を演奏している。

国際コンクールでの優勝が、世界で飛躍するきっかけに

ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールで日本人初優勝の快挙を達成してから2年半の間に、辻井氏のピアニスト人生は大きく様変わりしたという。「優勝した翌日にすぐドイツでの演奏を依頼された時は驚きました。2年半の間に、今までは想像もしなかった多くの国々で演奏することができましたね。プロとして一層の責任感を持って演奏に臨んでいます」。そう語る辻井氏は、アメリカ、ヨーロッパ、ロシア、中南米など世界各地で精力的に演奏会を重ねている。2010年12月にはUBSの本拠地であるスイスも訪れた。「ルガーノとロカルノでは放送局のオーケストラと共演し、大成功を収めました。バーゼルでのリサイタルも好評で、主催者がすぐ次のコンサートを申し込んでくれました。2012年の5月にまた行く予定です」。スイスの印象についてはこう振り返る。「一般的に外国は日本のように時間に正確ではありませんが、スイスは何もかもが、ものすごく正確。さすが"時計の国"だと感心しました」

カーネギーホールでのデビューはプロとしての"出発点"

どこの国、どんな街へ行っても、常に聴衆の期待に応えるためにベストを尽くす。辻井氏は、2011年12月からスタートする「UBS presents 辻井伸行 日本ツアー2011/12」にも意気込みを示す。「モーツァルトとベートーヴェンという2大作曲家でまとめるのは、自分でも大胆なプログラムだと思います。皆さんもよくご存知の曲なので、そこに"辻井伸行ならではの魅力"を感じていただけると嬉しいです。震災後、私は世界各地を回って演奏し、ピアノを弾きたい時に弾けること、音楽を聴きたい時に聴けることが、すごく貴重で贅沢なのだと実感しました。音楽への感謝の気持ちを込めて演奏しますので、ぜひ一緒にお楽しみください」。幼少の頃から、立ちはだかる壁が高いほど燃えてきた辻井氏。高まる周囲の期待にも、真っすぐに向き合う。「本番に強いタイプなので、重圧は気になりません。むしろお客様のことを想うと、一刻も早く演奏したくなることもあります。お客様から気持ちのこもった拍手をいただくことが一番の励みになりますね」。では、辻井氏の次なる夢は?「カーネギーホールでの演奏会は一つの節目ですが、プロのピアニストとしては出発点に過ぎません。もう一度呼ばれた時こそが本物。2012年はロンドンでのデビューが決定しております。また、私の大好きな作曲家ドビュッシーの生誕150年なので、ドビュッシーの曲にも取り組みたいと思います。一つひとつの演奏会を大事にして、世界から"辻井の演奏を聴きたい"と言われるピアニストになりたいです」

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